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組み込み機器とリムーバブルメディアのファイルシステム [とりあえず羅列]

巷にはたくさんの音楽圧縮コーデックがあります。 MP3、AAC、ATRAC、Oggi などなど。 動画の圧縮こーデックも MPEG1,2 をはじめ H264 などいくつか主流になっているものがあります。

これらが流行りだしたころは、メディアの容量が少ない・ネットワークの帯域が狭い時代であったように思います。 一般のインターネットへの接続はダイヤルアップで56Kbps、一部では ISDN とかを使ってましたが、SOHO&裕福層 向けでした。 ストレージは、CD 1枚640MBに対し、HDD はせいぜい8GB。 フロッピーディスクがまだ雑誌の付録についてました。 その限られた資源のなかでいかに音楽を楽しむかが主題でした。

そのためには多少のクオリティダウンには目を瞑ってでもファイルサイズを小さくして転送量を減らすということがトッププライオリティでした。 そのなかで MPEG1 Layer3 の圧縮方式を使った MP3 がデファクトになりました。 MP3 がはやりだしたころは、他にも幾多の圧縮方式が提案されましたが、いずれも、ストレージを節約しながらいかに(それなりの)クオリティをキープするかということが主眼にありました。

その後 MP3 を無視し続け OpenMG と ATRAC に固執したソニー(ウォークマン等)は撃沈。
すでにネタと化している「半年で iPod を追い抜く」発言の場 で発表した NW-HD1 と VAIO Pocket は、結局世の中の流れに逆らいきれず MP3 対応することになります。
http://www.sony.jp/support/p-audio/contents/information/info_nw-hd1_2.html
http://vcl.vaio.sony.co.jp/download/SP-008951-00.html

そのかわりに、iPod/iTunes/iTunes Music Store の3つ巴でサービスを含めて新しいインフラというかエコシステムを構築したアップルが DAP 市場で絶大なシェアを誇ることになります。

-- 閑話休題 --

近頃、NAND Flash の急激な価格下落などからフラッシュメモリのコストがかなり下がってきています。 激安の 1GB のメモリが1000円ぐらいです。 このカテゴリには サムスン以外にも intel - Micron 連合の IM Flash や東芝などがいるので DRAM 同様、競争原理で年何割かのペースでビット単価は下がり続けるでしょう。

また、最近のデジカメだと1000万画素で1ファイル数MBクラスのJPEG や RAW データ、動画では下手するとGBオーダーのファイルもあります。 ビデオカメラのハイビジョン対応規格である AVCHD の DVD のやつだと、(一番ショボい)5Mbps のモードで最長64分記録できますが、そのメディアは 8cm 両面 DVD で 2.8GBです。 これでは短いと思っている人も多いでしょう。 オーディオでは圧縮とは逆の流れで音楽データを DSD 化してより高音質で楽しもうという提案も出てきています。

つまり数十GBクラスのストレージを埋めるだけのアプリケーション(ハード・ソフト問わず)がそろいつつあるということです。

今年あたりは 16GB や 32GB のメモリも登場するでしょう。 パソコンだと 32GB の SSD を選べるものも既にあります。 しかしその先、来年以降、組み込み機器で 64GB や 128GB が登場するでしょうか?チップの容量としては登場するかもしれません。 SSD 単品としては出てくる可能性も高いでしょう。 しかし組み込み機器で 32GB 以上のものが主流になっていくでしょうか。 私はあまり期待できないと思っています。

その理由はファイルシステムにあります。

現行の組み込み機器(特にポータブル機器)のほとんどは FAT16 を使っています。 FAT16 の最大パーティションサイズは仕様上 2GB です。 それ以上の容量 -- たとえば SDHC など -- は FAT32 を採用し始めたところですが、すでにそれの上限が近いのです。 正確に言うならば、Microsoft が FAT32 はクラスタサイズ 32KB、パーティションサイズ 32GB までしかサポートしないと言っているということです。
http://support.microsoft.com/kb/314463/ja
http://en.wikipedia.org/wiki/File_Allocation_Table
http://www.microsoft.com/whdc/system/platform/firmware/fatgen.mspx

実際のところはクラスタサイズをもっと大きくしてフォーマットすれば 40GB でも 60GB でも FAT32 で一応使えます。 HDD を搭載した一部の組み込み機器では 32GB 以上のものもあります。 FAT32 の仕様上は 8TB までのパーティションが作成できます。 でも、Windows2000 以降は OS 上からクラスタサイズを 32KB 以上にしてフォーマットすることができないので独自のフォーマッタが必要になります。 多くの組み込み機器で、機器本体側に「フォーマットする」メニューがあるのもこのためだと思われます。 また 32GB 以上の FAT32 パーティションが読めるか読めないかは Micorosoft がどこまでまじめに FAT32 をサポートするか(サポートを続けるか)にかかっています。



もうひとつ、問題があります。 単一ファイルのサイズです。 FAT32 は仕様上 4GB が最大ファイルサイズです。 これは 32bit で表現できる最大のバイト数ということです。 いくつかの機器では(というより伝統的な C のライブラリでは)ファイルサイズの表現に signed int を用いているので、32bit 4GB の半分の 2GB が1ファイルの上限の機器もあります。

結局のところ FAT32 に頼る限り、先が知れているということなのです。



では、次世代のファイルシステムに必要とされる用件は何なのでしょうか? 私は、これまで問題点としてあげてきたとおり以下の3つだと思います。

- より大きなパーティションサイズ
- より大きなファイルサイズ
- OS非依存

最低でも10年ぐらいは陳腐化しないフォーマットである必要があると思います。 ということで一年で 1bit づつ食いつぶしていくとして FAT32 をベースに考えると、パーティションサイズは 32TB、ファイルサイズは 4TB 以上をカバーできるファイルシステムが妥当です。

やや政治的な話になりますが、OS に対する依存性というのはすくないほうがいいでしょう。 困るのは主に OS メーカーですが、特定の OS しか使わないユーザー(普通のユーザーはパソコン1台しか持ってなくて1つのOSしか使ってないでしょうから)も困るでしょう。 iPod が爆発的に普及し始めたのも、Windows 対応を始めてからですね。



さて、そんなファイルシステムを誰が作るの? ですが、実は世界最大の OSメーカーである Microsoft はこの分野にもすでに手を打ってきています。 それが exFAT と呼ばれるファイルシステムです。

exFAT の詳細自体は Microsoft の Webサイトで "exFAT" で検索してもらうとして、組み込み機器メーカー側はどう対応していくつもりなのでしょうか。 exFAT を受け入れて Microsoft についていくのか、それとも自分でファイルシステムを作ってそれを啓蒙していくのか。



デファクト(の候補)についていくのか、デファクトを創るのか。 いずれの施策をとるにしても、このあたりの分野に次の飯のネタがあるような気がしています。

私は、exFAT がパテントフリーで仕様公開されるなら exFAT についていきたいと思います。 でもそうでないなら新しいファイルシステムを創っていく流れに合流するほうがいいんじゃないかと考えています。


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